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幻のブランド牛「能登牛」を求めて。生産者が語る“美味しさ”の極意

能登の自然に育まれたブランド牛

肉質に優れたブランド和牛として、今や全国区の知名度を得るまでになった能登牛。生産される頭数が極めて少ないことから“幻の和牛”とも呼ばれており、その希少さゆえ流通先は県内の販売店や飲食店が大半となっています。能登を訪れたら一度は味わいたい食材のひとつ。県内のレストランでは能登の風土を表現するために、自然豊かな里山で育てられた能登牛をスペシャリテに使用する例も少なくありません。

ルーツは神戸牛の祖でもある但馬牛と、その品質は折り紙つき。2007年に開催された和牛肉のオリンピック「全国和牛能力共進会」では、オレイン酸含有量が全国一として“脂肪の質賞”を受賞し、名実ともに最高級ランクの黒毛和種として評価されることになります。能登牛の最大の特徴は、きめ細やかで上品な味わいのサシ(脂身)。牛肉の柔らかさ、香りの豊かさは、脂肪の中に含まれるオレイン酸の含有率が重要で、この数値が高いほど口の中でとろけるような食感が味わえるとされています。

今回は、そんな能登牛の背景に触れるため、能登町の里山で1,000頭以上の能登牛を飼育する生産牧場を訪問。さらには認定店として能登牛の普及啓発に努める地元の精肉店と、能登牛のメニューを豊富に取り揃える飲食店にも足を運びました。

全国区の実績を誇る生産牧場へ

能登空港から約30分。富山湾に面する内浦から山間部へと車を走らせていると、うっそうと広がる原生林の中に、突如として広大な牧草地を有する開放的なエリアが出現します。その一角にあるのが『能登牧場』。能登牛の年間出荷頭数1,000頭強(神戸牛や松坂牛の出荷頭数が年間7,000〜8,000頭であることから希少さがうかがえる)のうち約3割を生産する、県内最大手の牧場です。

開業は2014年と歴史の浅い能登牧場ですが、石川県と福井県の合同で開催される品評会では7年連続でグランドチャンピオンを獲得。2022年には「全国和牛能力共進会」に石川県代表で出品し、全国の並み居る強豪に混じりながらも県の過去最高順位を更新するなど、能登牛ブランドの発展に寄与しています。

能登牧場を取り仕切るのは、同牧場の専務である平林将さん。代表である兄の勲氏とともに牧場の立ち上げから参画し、現在は牛の飼育から経理まであらゆる面で現場を管理しています。ちなみに群馬県にある平林さんの実家は、黒毛和牛の生産牧場として全国的にも名高い「赤城畜産」。能登牧場と赤城畜産自体に資本関係はありませんが、親子3代にわたって培われたノウハウはしっかりと受け継がれています。

もともとは公認会計士を目指していたという平林さん。設立4年目にして全国和牛能力共進会で一等賞を獲得するなど、能登牛の未来を担う畜産家として期待されている。

風に揺れる木々の音、鳥や虫の鳴き声など、自然の環境音しか聞こえてこない人里を離れた地。なんとこの牧場がある泉地区の住人は、能登牧場の従業員ただ一人だと言います。

「私たちが最も大切にしているのが、牛にストレスを与えず健康に育てること。能登町に牧場を開くことになったのも、石川県全域を視察する中でそうした環境づくりに適した地だと感じたからです。この辺りは車通りもほとんどなく、聞こえてくるのは自然の環境音だけ。また、牛は暑さに弱いため、県内でも比較的冷涼な奥能登の気候も飼育方針とマッチしました(平林氏)」

現在、能登牧場では4つの牛舎で1,140頭の能登牛を管理。そこでもアニマルフェルフェア(快適性に配慮した家畜の飼養管理)を重点に置いた肥育理念が徹底されています。たとえば、敏感な性格の牛に配慮して、牧場内では農機具やトラックを動かすのは一日4時間までと限定。そのほか大声を出さない、走らない、むやみに触らないのは勿論のこと、牛舎内は常に清潔に保つために24時間体制で管理されています。また、牛房に関しても1ユニット(32平米)あたり最大4頭までのルールのもと飼養。農水省が推奨する基準(1頭あたり5.5平米)と比べても、能登牧場ではかなりのゆとりをもったスペースで飼育されていることが分かります。

「牛は環境の変化に弱い生き物。気温差が6〜7度あるだけでもすぐに風邪をひいてしまいます。問題なのは環境の変化によるストレスの影響で、餌(えさ)を食べなくなってしまうこと。能登牛の特徴であるオレイン酸は生後30ヶ月までの間に蓄積されていくので、美味しい牛に育てるにはその間にいかに餌を食べてもらうかが大事なんです(平林氏)」

夏場の暑さ対策として牛房ごとに換気扇を設置。一方、冬場は飲み水の温度が冷たくなりすぎないよう温水器を導入するなど、年間を通して環境を一定にする取り組みが為されている。

味を追求した長期肥育への挑戦

能登牧場が独自に行なっている取り組みのひとつに「長期肥育」があります。日本の牛の平均的な出荷年齢は27〜28ヶ月。能登牧場では30ヶ月以上を長期肥育とし、さらに37ヶ月以上を超長期肥育と定義づけています。果たして長期肥育された牛にはどういった特徴があるのでしょうか。

「和牛は一般的に晩熟型で、長く飼育することで肉の締まりや香り、脂肪の質が増加する傾向にあると言われています。開業当初からその点に注目し、生きたまま熟成させるアライブエイジングという肥育方法を確立したことで、能登牧場ではオレイン酸の含有率55%以上と高い数値をキープすることができました。また、私たちの家族の間では、赤城畜産を立ち上げた祖父の代からの言い伝えで34ヶ月を超えた牛は、赤身も美味しくなるとされています。脂の質だけが注目されがちな能登牛ですが、様々な部位を食す牛だからこそ、脂身も赤身も美味しくなる創意工夫が必要なんです(平林氏)」

長期肥育とはいえ、ただ長く育てれば良いとはならないのが畜産の難しい所。そのあたりについて平林さんはどう考えているのでしょうか。

「もちろん長く肥育すれば良いわけではなく、私たちの牧場では去勢は30ヶ月、メスは34ヶ月をひとつの目安としています。 オレイン酸も高ければ良いわけでなく、62以上の数値を超えると逆に肉の味わいを損なってしまう。その上で大切なのが、牛の成長段階に応じて適切な栄養を与えることです。牛は時期によってどの部位が成長するか研究でも分かっているので、適切な餌やりを心がけていれば肉付きのバランスが良くなるんです。適切に長期飼育された40ヶ月を超える雌牛の立ち姿は本当にキレイなんですよ(平林氏)」

嗜好性に作用する糖蜜やオレイン酸を高める生米糠を混ぜ込むなど、飼料の配合にも様々な工夫を凝らしている。

いざ実食へ。能登牛認定店を巡り歩く

自然に囲まれた環境でストレスなく育てられた能登牛は、一体どれほど美味しいのか。牧場を後にした私たちは、能登町宇出津にある能登牛認定店の『片岡精肉店』を訪れました。幻のブランド牛と言われている能登牛ですが、能登町のスーパーでは地元の人たち向けに販売されているので、比較的手に入りやすいのだそうです。

「とはいえ高級食材なので、地元では贈り物にされたりハレの日に食されたりすることが多いですね。その中で私たちがこだわっているのは価格面。大手スーパーのようにハイシーズンだけ取り扱うようなことはせず、つねに安定した価格で店頭に並べることを目指しています」

そう話すのは、昭和時代から続く片岡精肉店の3代目・片岡寿弥さん。かくだストア精肉部にて店頭販売を行なっている。

なんでも能登牛を半頭買いする片岡精肉店では、牛の全ての部位が日毎に売り出されるとのこと。肉博士の異名を持つ片岡さんにおすすめの部位も聞いてみました。

「私のおすすめは“ハバキ”と呼ばれる外モモの一部。筋が多い部位でありながら肉質は柔らかく、コクがあって焼肉にして食べるととても美味しいんです。能登牛の脂は融点が低いので焼き過ぎには注意。焼く前にはかならず常温に戻してくださいね」

ところ変わってこちらは下町情緒あふれる「あさひ」。片岡精肉店と同じ、宇出津商店街に暖簾を掲げる老舗の焼肉居酒屋です。こちらでは、能登牛を使った焼肉、ステーキ、すき焼き、しゃぶしゃぶなどを提供しています(すき焼き、しゃぶしゃぶは要予約)。

店主の玉地幸広さんがこだわるのは“トリミング”。肉の余分な脂肪や筋などを取り除き整形することで、肉本来の旨みが何倍にも膨れ上がるのだそうです。

肉魚問わず包丁さばきに定評のある店主の玉地さん。この後も能登牛の魅力について大いに語ってくれた。

焼肉として提供される部位はその日によって様々。「あまり焼きすぎるとせっかくの持ち味が生かされない。サッと炙る程度でまずは食べてみて欲しい」との玉地さんのアドバイスを聞きつつ、待ちに待った実食タイムへと入ります。

まずは大将おすすめの“タテバラ”から。全体的にサシが入っており、見た目からして脂の乗りが感じられます。実際に食べた感想としては、こってりジューシー。その一方でアバラ骨周りという牛の呼吸で使われる筋肉が含まれる部位であるため食感はしっかりとしています。

続いては牛のお尻周りにつく赤身肉のイチボ。牛一頭あたりから約2〜3キロほどしか取れない希少な部位です。赤身肉でありながら霜降りの入った甘みを感じさせる味わい。能登牛は和牛香(※)が豊かだと言われる所以が口に入れた瞬間に分かりました。

※和牛肉が加熱されることによって初めて感じられる香りのこと。その香りは甘くふくよかで、ココナッツやミルクのようだと表現されることが多い。

能登町にある能登牛認定店リスト

そのほかにも能登町には、能登牛に力を入れるお店がたくさんあります。

能登牛を購入できるお店一覧

店舗名 住所 電話番号
片岡精肉店 鳳珠郡能登町宇出津新1字149 0768-62-3207
スーパーしんや
やなぎだ店
鳳珠郡能登町字柳田礼16-1 0768-76-1203

能登牛を食べれるお店一覧

店舗名 住所 電話番号
焼肉 精香園 鳳珠郡能登町字宇出津新1-203 0768-62-0330
焼肉・居酒屋 あさひ 鳳珠郡能登町宇出津新1丁目27乙 0768-62-3291
焼肉 ポンちゃん 鳳珠郡能登町宇出津新190-7 0768-62-0592
あたか 鳳珠郡能登町字宇出津ウ字43丙 0768-62-0517
真脇ポーレポーレ 鳳珠郡能登町字真脇19字110番地 0768-62-4700
国民宿舎能登うしつ荘 鳳珠郡能登町字羽根5字4番地 0768-62-2295
国民宿舎 能登やなぎだ荘 鳳珠郡能登町字柳田知部1番地 0768-76-1550
能登町柳田植物公園レストラン花菖蒲 鳳珠郡能登町字上町ロ部1-1 0768-76-1680
竹次郎 鳳珠郡能登町字柳田礼部37-1 0768-76-0037
ラブロ恋路 鳳珠郡能登町字恋路3-18 0768-72-1234

能登牛を存分楽しむイベント

奥能登の豊かな風土に育まれたブランド和牛「能登牛」。11月5日(日)には能登牛を始めとする、能登町の秋の味覚が満載の「能登牛と秋の味覚市」も開催されるので、ぜひこの機会に足を運んでみてはいかがでしょうか

【令和5年11月5日(日)】秋の味覚市

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