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鉢伏山を「ブナの森」に。未来へ繋ぐブナ林再生ツアー

能登町の最高峰・鉢伏山ヒストリー

能登町と輪島市の境に位置する鉢伏山
標高543mを誇る、能登町の最高峰です。

かつては一面が天然のブナに覆われていたものの、炭焼きに活用されるようになり一変。成長の遅いブナは萌芽更新(ほうがこうしん)されず、大きなブナの木は急な斜面に少し残されるのみとなりました。昭和40年前後に炭焼きをしなくなってからは、登山道は途絶え、人の手が入らなくなり、すっかり変わり果てた姿に。

しかし山頂付近には「白滝自然林」と呼ばれるブナの原生林が残っていました。

その貴重さから、昭和58年1月には「21世紀に残したい日本の自然百選」に選定され、その直後に売却・伐採されそうになった際は、現能登町(旧柳田村)が土地ごと買い戻し森を保護されたそうです。

さまざまな歴史を経て今に繋がれてきた鉢伏山のブナ林。
山全体を「ブナの森」として再生すべく、10年前に保全活動が始まりました。

今回は、「株式会社ぶなの森」の高峰博保さんにご案内いただき、ブナ林の再生活動を体験するツアーに参加しました。

ネマガリダケを刈り、ブナを植える

「ブナの森ってどんなところだろう」と想像を膨らませつつ、朝9時に集合場所の岩井戸神社前へ。

10名以上の参加者さんが、続々と集まってきました。

明け方まで降っていた雨も止み、絶好の森日和!そんなお天気と裏腹に、他の参加者さんの姿を見て顔色が曇ったのは私。皆さんきちんとトレッキングウェアとシューズを着用しているのにもかかわらず、登山初心者の私はラフな格好に普通のスニーカー!「そりゃ森に行くんだもんな、考えが甘かった……」と反省するも時すでに遅し。

ガイドの朝倉さんに「皆さんの後を追えば大丈夫」と励まされ、気を取り直していざ出発です。

頂上付近までは、マイクロバスで移動します。車窓からは、赤や黄色など鮮やかに色づく紅葉が目を楽しませてくれます。取材日の11月6日は既に紅葉のピークを少し過ぎた頃だったそうですが、とても見ごたえのある景色でした。

紅葉がとても綺麗でした!

紅葉がとても綺麗でした!

登山道は整備されていて、スニーカーでも登ることができました!

登山道は整備されていて、スニーカーでも登ることができました!

バスを降りてからは、頂上を目指して少し急な斜面を徒歩で登ります。

晴天のおかげで足元もぬかるまず、登山初心者の私でもなんとか皆さんの後をついていけました。木々につかまりながらゆっくり登ること10分ほどで、頂上へ到着。

ネマガリダケを伐採します!

ネマガリダケを伐採します!

ここからは、ブナの代わりに山を覆いつくしている「ネマガリダケ」を刈る作業です。ネマガリダケとは、山の稜線や谷間に自生する竹の一種。ネマガリダケに覆われていると、見晴らしが悪いだけでなく、ブナへ光が届かず成長を妨げてしまいます。

ネマガリダケは1度刈ったらあまり生えてこず、刈ったものは積んでおくと3年ほどで自然に土に還るそう。昨年刈って積み上げたという山も、既に随分低くなっているようでした。

before

before

after

after

タムシバやクロモジと間違えないよう気を付けながら、枝切はさみで根本から刈っていきます。ジャキン、と切れる感触が面白く、気付けば夢中に。参加者の皆さんもどんどん手際が良くなり、あっという間に視界が開けました。

ブナの植林

ブナの植林

さっぱりとした地に、1人1本ずつブナの幼木を植林します。これはツアー主催者の高峰さんが、朝ブナ林の周辺で掘り起こしてくださったもの。穴を掘り、ブナの幼木をそっと入れ、落ち葉を集めてしっかり踏み固めます。

私たち参加者の作業はこれで終わりですが、このままではブナは育ちません。先端の柔らかい枝をウサギに食べられないようにネットをかけ、光が届くようにして……と、手間をかけて世話する必要があります。まだ赤ちゃんのブナは、高峰さんや株式会社ぶなの森の皆さんの力を借りながら、何年もかけて成長していくのです。

ブナに囲まれ、思い思いの癒しの時間を

一面を覆い尽くすブナの絨毯

一面を覆い尽くすブナの絨毯

作業の後は、ブナ林へと移動してひと休み。ブナは保水力が高く腐植土の層が厚いため、足元はフカフカとした絨毯のようです。

ブナ林で一休み。時間を忘れてしまいます。

ブナ林で一休み。時間を忘れてしまいます。

レジャーシートを広げ、焼きリンゴとクロモジティーを頂きます。その場で採取したクロモジを使ったお茶は、ほのかな香りが広がるやさしい味わいです。ブナ林での過ごし方は人それぞれ。ゴロンと寝転んだり、木によりかかったり、植物を観察したり……心地良い自然とブナに包まれ、皆さん思い思いにのんびりと過ごしています。

自生しているクロモジで作ったクロモジティー

自生しているクロモジで作ったクロモジティー

ブナの実 食べれるみたいです!

ブナの実 食べれるみたいです!

高峰さんが「今年はブナの実がたくさん落ちてる。そのままでも食べられるよ」と教えてくれたので、私は実を探して食べてみることに。ブナは基本的には5~6年に1度実をつけ、それ以外はほとんどつけないそう。今年は大豊作の年だそうで、少し探すとすぐに見つかりました。ちくちくとした硬い皮を剥くと、中身は白っぽい実。どんぐりと異なりえぐみもなく、あっさりと食べやすい味でした。ミックスナッツに入ってても違和感ないかも……?

ツアーに参加されたみなさんと記念撮影!

ツアーに参加されたみなさんと記念撮影!

次の世代へと繋ぐ「ブナの森」の物語

10年目のブナ 人の背丈くらい

10年目のブナ

帰りの道中、高峰さんが語ってくれました。「今頑張ってブナを植えても、鉢伏山が再びブナに覆われるのは50年、もしかしたら100年先かもしれない。孫のその次の代くらいになるかもね」

はるか遠く、途方もない話ですが、「いつかブナに覆われたこの森で、次の世代の人たちはどんな過ごし方をするんだろう」と考えるとワクワクしました。その景色の中に、今日私が植えたブナが無事に大きく育っていてくれたら。生きてる間には見ることのできない景色だとしても、その景色に僅かながら携われたことは今日の大きな収穫でした。

■ツアー詳細

(株)ぶなの森 高峰さん(左)、今井さん(右)

(株)ぶなの森 高峰さん(左)、今井さん(右)

運営事務局:(株)ぶなの森
料金:おひとり3,000円(昼食・体験料・税込)
開催日:予約があれば随時開催
実施期間:4月中旬~11月末
催行時間:10:00~14:00
所要時間:4時間
予約締切日:前日
HP:https://bunanomori.com/ecotour/tour/taketori.html

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