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イカ漁の町・小木の新拠点「イカの駅つくモール」

イカの駅つくモール

「道の駅」ではなく、「イカの駅」。函館(北海道)、八戸(青森)と並び “日本三大イカ釣り漁港”に数えられる能登町小木の漁港そば、九十九湾に面した地に2020年6月にオープンした「イカの駅つくモール」。イカ料理に、イカ墨ソフト、イカの特産品…などなど、その名に違わずとにかく “イカづくし”!

その品質の高さから、業界ではブランド・イカとして扱われながらも、観光資源としてはあまり注目されてこなかった「小木のイカ」に様々な角度からスポットライトを当てたこの施設。痛快なまでに振り切ったコンセプトがヒットして、休日には県内外から多くの観光客が訪れます。

さらにはこのイカの駅、イカだけでなく、九十九湾における“マリンスポーツの拠点”でもあるのです。今回はそんな「イカの駅つくモール」をライターが味わいつくしてきました!

小木とイカ漁とパイオニア精神

まず入り口で迎えてくれたのは、「とも旗祭り」を彷彿とさせる迫力ある展示物。ここでは知られざる小木港とイカ漁の歴史が紹介されています。

展示パネルによると、古くから小木は天然の良港として知られ、明治から大正時代にかけては年間数千隻の入港船で賑わっていたそう。当時からイカ漁に特化していたわけではなく、古来から盛んだったタラ漁に加えて、ブリ、イワシ、サバ漁と並んでイカ漁の位置付けがあったとか。その頃のイカ釣り漁といえば、多くは二人乗りの小舟によるもので、集魚灯が燦然と輝く今日のイカ釣り漁船とはその様子も大きく異なります。イカが大群で浮き上がってきた時は、熊手で掻き上げていたこともあったというから、なんだか微笑ましい。

大正にエンジンを搭載した改良漁船が登場してからも、まだ保冷設備が十分でなかっため、生イカの流通範囲は限られていて、採れたイカのほとんどは港で煮イカや塩イカなどに加工されて出荷されていたそう。(その加工過程で廃棄されるイカの肝臓を活用してつくられていたのが、能登町の特産品でもあるイカの魚醤「いしり」)。そんな状況下でも小木の漁師たちは大量の氷を積み、大和堆のような日本列島から遠く離れた沖に、先陣を切って出漁していたというから、底知れぬチャレンジ精神を感じさせます。

イカ釣りに用いられる集魚灯

その後、昭和45年に冷凍機付きのイカ釣り漁船が導入されて以降、本格的な遠洋漁業の時代が到来。一度漁にでれば長期間自宅には帰れず、さらには戻れる保証はないという中で、海に繰り出し続けた漁師たち。八戸や函館と比べても決して大きくはない小木港が、イカの水揚げにおける全国トップクラスに躍り出た背景には、多くの苦労があったことが偲ばれます。尽きることないパイオニア精神と、能登町に祭が多いことの間には何か関連があるのでは…などと一人想いを巡らせたり。。

時は流れ、今日はイカ漁師たちにとって受難の時代。イカの生息数の減少や、漁場の縮小、外国の違法操業船の侵入などによって、記録的不漁が近年続いていることは連日ニュースで報道されているところ。そんな中でも「小木のイカ」ブランドを守り続けている漁師さんたちにエールを送る意味でも、このイカの駅が果たす役割は大きいのだと、歴史を学んで改めて感じたのでした。

イカ釣りに用いられる釣り具。ポップな色合いが可愛い。

イカの駅の水槽内を悠々と泳ぐアオリイカ(9月22日時点)。そのほかにも季節によってスルメイカやヤリイカも水揚げされる。

船凍イカの“甘み”に舌鼓

さて、イカ漁の歴史を学んでいると腹がすいてきました…。早速その小木名物のイカを味わってみましょう。小木のイカの代名詞といえば「船凍イカ」。読んで字の如く「船上で凍らせたイカ」のことで、釣りたてのイカを一尾ずつ急速冷凍させたもの。私のような釣りの素人だと「生の方が鮮度が良いのでは?」と考えがちですが「船凍イカには、活イカにない甘みがある」と地元の人は口を揃えます。「ま、一口食べたらすぐわかるから」ということで、早速いただくことに。

私が今回いただいたのは、四季によって料理長がメニューを新たに考案する「船凍イカ丼」。今回は秋バージョンで、船凍イカを中心とした目にも華やかなちらし寿司仕立てになっていました。まずは、主役である船凍イカを実食。

ねっとりとした凝縮された甘みと旨み。例えるなら、良いお鮨屋さんでいただく、ひと仕事施された後のイカのような。。さらにしっかりとした歯ごたえに、これまであった“冷凍もの”のイメージがあっさりと覆されます。いつもなら、イカの刺身のといえば醤油と薬味というワンパターンに陥りがちですが、この丼ではイクラの塩気と酢飯でいただくので、船凍イカ自体の甘みをしっかりと味わうことができました。

「小木船凍イカのもみじ丼」1,200円(税込)。※季節限定

レストランで腕を振るうのは、能登の有名旅館で料理長も勤め上げたこの道50年の大ベテラン・岩間さん。「能登の食材をつかって、能登にないものを」という、シンプルながらも難解な駅長からのオーダーにも見事に応えてくれたそう。

「イカこっしゃえる御膳」「イカの御造り御膳」といった定番の他にも、日替わりメニューではイカハンバーグセットやイカコロッケセットなどの、アイディア満載のイカ料理を味わうことができます。また、レストラン以外にも同施設内にはカフェがあり、そちらではイカフライや、イカを用いたバーガー、イカの駅名物の「イカスミソフト」といった軽食が充実。

こちら蓬莱島を模したしらすライスが可愛い「船凍イカカレー」1,000円(税込)

カフェメニュー

駅内のレストランで味わうのはもちろん、物産品コーナーではお土産として小木のイカをお持ち帰りすることもできます。小木地区の家庭で伝統的につくられてきた「イカの甘酢漬け」をはじめとした、イカを用いた郷土食から、新たなアイディアで開発されたイカ商品までずらり。これだけイカしばりの商品が揃う施設は、全国どこを探しても他にないはず。。

物産品コーナー

小木地区に伝わる郷土食「甘酢漬け」

船凍イカを使用した「いか団子」

イカの刺身を食べるのにもぴったりなイカ型のお皿

海の案内人・寺内駅長インタビュー

「イカの駅」のもうひとつの顔が、九十九湾におけるマリン・アクティビティの拠点としての一面。これだけ海に恵まれた半島でありながら、指導者の不在により奥能登で初心者が気軽にマリン・アクティビティを楽しめる場所はこれまでありませんでした。

その拠点化を可能にしたのが、駅長・寺内崇博さんの存在です。現在イカの駅つくモールでの行われているマリン・アクティビティのガイドはすべて寺内さんが一手に担っています。

イカの駅つくモール駅長・寺内崇博(たかひろ)さん。東京出身。18 歳から沖縄で17年間過ごし,能登町出身の奥さんとの結婚を機に2018年能登町に移住。2019年に駅長に抜擢され、同施設でのマリン・アクティビティのガイドも行なっている。

「初心者がマリンスポーツを始めるのに、九十九湾ほど適した環境はないと思います」と寺内さん。自身も長年のマリンスポーツ経験を通じて、様々な地域の海を見てきてた寺内さんの見解には説得力が。

「九十九湾の魅力は何と言っても海が荒れないこと。マリンガイドをやっていて一番怖いことが、複数人を同時に海に出した時に、風や潮に押されて方々に散ってしまうことなんですが、九十九湾ではその心配がない。仮にもし風に押されたとしても、入江が狭いので必ずどこかの岸に着けるんです。まるで柵の中で遊んでいるような安心感がここにはあって、初めてマリンスポーツをする人にとっては最高の海だと思います」

入江が複雑に入り込む九十九湾

建物の裏にはすぐ九十九湾が。湖面のように穏やか

そんな心強いレコメンドに押され、マリンスポーツは全くの未経験者である私も一念発起して挑戦してみることに。初心者とあって、服装も海専用のものを持ち合わせていなかったのですが「動きやすいもので、あとは海に落ちた時用の着替えさえあれば大丈夫」とのこと。(その他、ライフジャケットやマリンブーツは借りることができます)

SUP・カヤック・遊覧船などのマリンレジャーはすべて「イカの駅つくモール」のカウンターにて申し込みができ、今回は以前から興味があったSUPをチョイス。ただし、SUPやカヤックといったアクティビティは駅長が一人でガイドを担当している関係上、土日やハイシーズンは早々に予約で埋まってしまうことも多いので、日程が決まっている人は早めに確認しておくことがおすすめ。(※マリンアクティビティは基本的に要予約)

パドルの使い方などの簡単な説明を受け、いざ海へ。緊張から、かなりへっぴり腰での船出

初心者の私でも、落ちることなくボートの上にも立てました!

「SUPは海と親しむためのツール」という寺内さんの言葉が、海の上に立ってみると実感として分かります。パドルから感じる水の感触や、海の上特有の静けさ、数えきれない命が息づく深い海の上に身一つで立っている不思議…。岸から眺める九十九湾も十分すぎるほどに綺麗だったけれど、実際に海に出ると想像していなかった感覚に包まれます。「日本百景としての九十九湾の景観の良さは皆さんの知るところだと思うのですが、自分で海にでたときに“こんなに良い景観なのか!”ということはまだまだ知られていないと思うのです。マリンレジャーを通して九十九湾の新しい魅力を発見していただけたら(寺内さん)」

能登町のプラットホームとして

小木イカの魅力の発信基地として、そして奥能登におけるマリンスポーツの拠点として。様々な役目を同時に果たす「イカの駅つくモール」ですが、「ここを、能登町におけるひとつのプラットホームにしていきたい」と寺内さんはさらなる展望を語ります。

物産コーナーに並ぶ商品には、「能登の食材をつかっていること」もしくは「能登の事業者がつくったものであること」というルールがあるとか

「事業としてこの施設が地元にどんなことができるか、僕らも日々試行錯誤しています。とはいえ、自分たちで考えられることにも限りがある。だからこそ、地元に住む異なる年代や職種の方、そして外から来た方も含め、いろんな人の視点やアイディアや意見を無数に吸収できるようなオープンな観光交流施設でありたい。その素地をつくることをこれからやっていきたいと考えています」

イカの駅でありながら、イカだけでなく地域全体を盛り上げようという気概に溢れた「イカの駅つくモール」。小木のイカ漁に通ずる、パイオニア精神を感じます。地元の人も県外の人も、もうイカ(行か)ない手はないです!

こちらは“溶けないアイス”「イカ珠バー」

記:柳田 和佳奈

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