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【奇景】自然が生み出す壮大な造形美。奥能登のカッパドキアを歩いてみた

深い歴史と壮大な自然

古道とは、古来より使われてきた道で、今もその痕跡を残しているもの。おもに古墳時代から平安時代にかけて計画的に整備、建設された道のことを指します。日本ではユネスコの世界遺産にも登録されている「熊野古道」や、松尾芭蕉が歩いたとされる「奥の細道」などが有名ですよね。

そんな歴史ロマンあふれる古道ですが、ここ能登町でもトレッキングにぴったりの場所を見つけました。火山によって形成された地形であることから〈奥能登のカッパドキア〉とも称される「ヒデッ坂」や、太古の火山活動で埋没した珪化木群「珪化木公園」などを有する『木郎歴史古道』です。

今回は起点となる能登町秋吉のアマメハギ公園からヒデッ坂を目指し、ピストントレイルを敢行してみたいと思います。

6月某日正午、アマメハギ公園に到着。天気は良好。気温も18度と過ごしやすく、絶好のトレッキング日和となりました。

まずは、お約束ともいえるアマメハギパネルと記念写真。ちょっとした景気づけです。

ちなみにアマメハギとは能登町秋吉地区に伝わる民俗儀礼のことで、「来訪神 仮面・仮装の神々」として、ユネスコの無形文化遺産にも認定されています。

包丁を片手に「アマメ〜!」と叫びながら徘徊する鬼と、それを見て泣き叫ぶ子供たち。その様相はまさにカオスあふれる異様な世界で、一度見たらクセになること間違いなしです。

そんなわけでいざ出発。アマメハギ公園から民家を抜けると、一気にその景色が変わります。

ここからものの数分で…

こんな景色に。視覚だけでなく、音(聴覚)や匂い(嗅覚)からも、ここから先は本物の自然が待ち受けていると、本能で感じ取ることができます。

これはおそらくアテの木。奥能登屈指の奇祭「宇出津のあばれ祭り」の松明(たいまつ)の材料に使われる、地元では特別な木です。

この辺りはアテの木をはじめ、さまざまな樹木が生い茂っているので、直射日光を浴びることなく歩くことができます。

植物達の生命力に感動

そうこうしているうちにお目当ての「ヒデッ坂」に到着。ここから約1kmにおよぶ浸食凝灰岩台地の尾根道が続きます。

ヒデッ坂とは?

日本列島が大陸から離れ日本海が開きつつあった約二千万年前に、激しい火山活動によってできた宝達山層と名付けられた地層が珠洲市から能登町にかけて分布。この地層のほとんどは、たびたび噴出した火砕流によって運ばれた火山灰と軽石でできており、溶岩の破片や時には炭化木や火山豆石を含んでいる。この道は戦国時代より前から村と村をつなぐ尾根道として使われ、その坂が「ひどく」急だったことから、ヒデッ坂と名付けられたと言われている(能登町史第一巻他より抜粋)

標高にして70~90mほど。凝灰岩の山々が織りなす絶景を目指し、さらに歩みを進めていきます。

この古道はお坊さんが修行のために歩いていたとも言われていて、急ではないもののトレッキング初心者には十分な運動量。最初は涼しく感じていた筆者も、この頃にはじっとりと汗ばんでいました。

また、火山から噴出された火山灰が堆積してできた凝灰岩は崩れやすい性質を持っているので、とくにお子様連れの場合は厳重な注意が必要。履物もブーツやトレッキングシューズがベターです。

そしてこちらが最初のビューポイント。展望台らしきベンチがいくつか見えます。とはいえ、まだまだカッパドキアとは言い難い景色。さらに歩を進めていきましょう。

ヒデッ坂を歩いていると、自然の生命力も感じとることができます。たとえば木々や植物は、私たちの生活圏では見ないようなトリッキーな生え方をしていて、なにがなんでも根付いてやろうという物凄い生命力を感じます。これが標高90mほどの場所で展開されているのだから、なんとも不思議な感覚です。

ワイルドな樹形や見たことないような品種に、植物好きの筆者はついつい立ち止まる機会が多くなってしまいます。過酷な状況下でも、季節ごとに植物は芽吹き、逞しく育っていく。自然の生命力をひしひしと感じます。

自然が生み出した造形美

それからしばらく歩くと、どんどん岩肌が目立つようになってきました。

「ヒデッ坂」の看板から時間にして30分ほど。ついに待ちに待った、奥能登版カッパドキアの登場です。

見渡す限りの岩肌。とてもじゃないけど標高90mほどの低山とは思えません。

カッパドキアっぽい奇岩ニョキニョキもしっかりと拝めました。

木々の向こうに見えるのは恋路海岸のある飯田湾。右手には小木港も見えます。

ヒデッ坂の全景はこちら




まだまだ広がる不思議な景色

ヒデッ坂の景色を存分に堪能した後、もうちょっと先まで進んでみることにしました。

ここから先は草木が生い茂る山道。先ほどとは打って変わって湿気が高まり、木株には苔がびっしりと貼り付いています。

そしてカッパドキアからジャングルへとワープしたかのような錯覚を覚える景色と遭遇。この辺りはキツネやタヌキのほか、イノシシなども出るそうなので音を立てながら警戒して進みます。

この杭を越えたあたりでこのコースは行き止まり。これまで歩いてきた道を引き返し、帰路へとつきました。

当日は一度も人とすれ違うことはなく、エンカウントしたのは一匹の野ウサギのみ。それくらい地元の人も知らない穴場となっています。

今回はピストントレイルとなりましたが、木郎歴史古道全体をゆっくりと回ると所要は3時間ほど。これからの季節は早起きをして、暑くなる前に下山するのがおすすめです!

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