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絶景ツーリングの穴場。現地ライダーが愛する「Route 35(能都内浦線)」の魅力

奥能登の自然が織りなす絶景ロード

海沿いに景勝地が点在する能登半島は、極上のツーリングコースが集まるライダーの聖地。千里浜なぎさドライブウェイをはじめ、海岸線をひた走る国道249号、半島の先端をめぐる奥能登絶景海道など、能登半島には自然の魅力をダイレクトに体感できる絶景ロードが数多く存在します。

なかでも根強い人気を誇るのが、能登町の海岸線を通る「能都内浦線(県道35号)」。総距離20.35km、宇出津から松波までの沿岸部を周遊する道のりは、美しい海原が連続する絶景の宝庫。現地ライダーからは「Route 35」と呼び親しまれ、毎年多くのバイク乗りが能登町を訪れています。

海岸線の絶景を堪能する前に、知っておくべきことがあります。それは能登の海にはふたつの顔があるということ。日本海の荒波が押し寄せる外浦と、富山湾に面した波穏やかな内浦。能登半島沿岸はこのふたつの海岸で構成されています。

ダイナミックで男らしい景色が広がる外浦を「男海」、優しく女性的な景色をもつ内浦を「女海」と呼ぶように、それぞれの個性はじつに対照的。そうした豊かな海の表情も能登半島ツーリングの醍醐味となっています。

​能登町海岸線ドライブ動画​はこちら

旅のはじまりは宇出津から

ここからは、内浦有数の絶景ツーリングロード「Route 35(能都内浦線)」を実際に走ってみましょう。

スタート地点は「宇出津港」。このあたりは民宿も多く、奥能登全体をツーリングするさいは宿泊地の候補にもなります。港周辺の道路は海との距離が近く、潮高と地面の高低差もごく僅か。迫り来る海の景色と潮風の香りによって、いよいよドライブの士気も高まってきました。

古くから漁業が盛んな宇出津は、漁師町ならではの新鮮な魚料理を提供するお店が豊富。ツーリングの醍醐味である「食」についても事欠くことはなさそうです。

宇出津港から丘陵地を抜けて、現れたのは「田ノ浦海岸」。内浦らしい静かな佇まいで、海の中央に浮かぶ弁天島が点景となり、景観がグッと引き締められています。田ノ浦海岸の西側に見える黄色味を帯びた断崖の丘は、かつて上杉謙信に滅ぼされた棚木氏の城があった「遠島山」。現在は自然公園になっていて、内浦の海岸線が一望できる遊歩道が岬の先端まで設けられています。

田ノ浦海岸に浮かぶ弁天島

田ノ浦海岸に浮かぶ弁天島

そのまましばらく海岸線を走っていると、海中に畳を敷き詰めたような景色と遭遇します。引き潮時には海面から岩肌が現れるという水深1mにも満たない浅瀬。マリンブルーに透き通る岩礁が美しい「千畳敷」です。

とくに千畳敷ポケットパークから見えるものは規模が大きく、夕日が沈んでいく景色は幻想的。ゆっくりと景色を眺めたいときは、寄り道パーキングに駐車して海の近くまで歩くことができます。

千畳敷ポケットパークからの眺め

上空から眺める千畳敷海岸

千畳敷から続くのは「真脇海岸」。こちらは万畳敷と呼ばれ、透明度の高い遠浅の海が一望できます。この先は漁師町。ぷかぷかと漁船が浮んだのどかな漁村の風景は、まるで遠い昔の記憶を宿しているようです。

真脇海岸と漁村の風景

真脇海岸と漁村の風景

波穏やかな九十九湾へ

真脇トンネルを抜けると、能登内浦を代表する景勝地「九十九湾」に辿り着きました。九十九湾とは、能登半島国定公園にも指定される、大小の入り江からなるリアス海岸のこと。東西に1km、南北に1.5kmという小さな湾の中に12kmほどにもおよぶ海岸線が複雑に入り組んで、風光明媚な景色を作り出しています。

天候によっては湾越しに立山連峰やアルプス連峰が眺望できることも。しかし、入り組んだ湾の景色をツーリングしながら眺めるのは地形的にも不可能。九十九湾をじっくり堪能するには、バイクを降りて散策することになります。能都内浦線のちょうど中間地点。ひと息つくには最適なポイントです。

九十九湾の風景

九十九湾の風景

九十九湾を展望できる場所はいくつかありますが、能都内浦線をちょっと外れた「九十九湾遊歩道」を歩いてみることにしました。海岸線に沿って飛び石が連続する海の上の道。その先には自然の形状を生かした浅瀬が広がり、日本百景にも選ばれたリアス海岸の景色をより近い距離で感じることができます。

湾の中央に浮かぶのは、ヤブニッケイやスダジイなどの照葉樹が生い茂る「蓬莱島」。その景観の良さから、古代中国の仙境である蓬莱の画図を見るようであると、この名が付けられています。

波静かな内浦のなかでも、より穏やかな表情を見せる九十九湾。コバルトブルーに輝く水色と湾岸に生い茂る深緑の世界はまるで箱庭のように美しく、いつのまにか心を奪われていました。

遊歩道から望む九十九湾の海岸線

遊歩道から望む九十九湾の海岸線

「イカの駅つくモール」は、ツーリングの中継地として多くのライダーが立ち寄るスポット。ここでは遊覧船での九十九湾クルーズのほか、カヤックやSUP(スタンドアップパドルボード)などのマリンレジャーを体験することができます。九十九湾の自然を一日かけて満喫し、湾内にある野営キャンプ場でテントを張って一夜を過ごす。最近はそうしたネイチャーツーリングを楽しむライダーも増えているそうです。

イカの駅つくモール

イカの駅つくモール

ライダーズハウスでひと休み

ここからツーリングはいよいよ終盤戦。ゴール地点の松波へ向かう前に、九十九湾近くにあるライダーズハウスを訪ねました。

「PEACE riders marine base」は、カフェを併設したライダー向けの宿泊施設。建物の目の前が海という絶好のロケーションと、女性でも安心して宿泊できる気遣いで、いまやバイク乗りや旅人のオアシス的な存在に。オーナーの大場小都美さんは、能登ツーリングをライフワークとする現役ライダーでもあります。

「丘陵地の多い31号線(能登内浦線)は、起伏に富んだ走りがいのあるコース。信号も少なく、ストレスフリーで走り続けることができます。とくに夏場は停車すると太陽やエンジンの熱に体力が奪われるので、信号が少ない道というのはありがたいんですよ」と大場さん。

出発するライダーを見送る大場さん

出発するライダーを見送る大場さん

海岸線の美しさだけでなく、運転する楽しさが満たされるのも能都内浦線ツーリングの魅力。金沢で生まれ育った大場さんが能登町に移住してまでライダーズハウスを開業したのも、そういった付加価値があるからではないでしょうか。淹れたてのコーヒーを飲みながら、海やバイクの話に花を咲かせること小一時間。名残惜しくも温かな気持ちで「PEACE」を後にします。

PEACE riders marine base

PEACE riders marine base

「PEACE」から1kmほど先にある「五色ヶ浜」も、能登内浦を象徴する海岸のひとつ。その美しさは「一日で5色に海の色が変わる」と言い伝えられるほどで、透明度の高い海の向こうには立山連峰を望むこともできます。また、内浦有数の海水浴場としても知られ、夏になると地元の子供たちでにぎわいます。

五色ヶ浜海水浴場

五色ヶ浜海水浴場

心落ち着くのどかな田園風景

海岸線から内陸へと方向を変えると、目の前に広がるのは田園地帯。能登特有の黒瓦と板壁の家が軒を連ねる集落との風景は、世界農業遺産にも認定された能登の暮らしを象徴しているようで、どこか懐かしさも感じます。

能登町白丸の田園風景

能登町白丸の田園風景

九里川尻川にかかる小さな橋を渡ると、能都内浦線の終点松波に到着。絶景の連続だった内浦ツーリングもついにフィナーレを迎えます。最後に訪れたのは、松波のちょっと先にある「恋路海岸」。穏やかに湾曲した砂浜と鳥居の後方に弁天島が浮かぶ海岸は、内浦らしい女性的な景色がとても印象的でした。

恋路海岸

恋路海岸

旅の余韻に浸っていると「嫌なことがあっても内浦の景色を見ていたら、悩んでいるのが馬鹿らしくなってくるの」という大場さんの言葉を、ふと思い出しました。九十九湾をはじめとする穏やかな海、どこまでも続く田園風景、それらを取り巻く丘陵地の緑、そして伝統的な暮らしが息づく集落。日本の原風景ともいえる農山漁村の風景は、内浦の波頭のように優しく、見ているだけで穏やかな気持ちになります。

「Route 35(能都内浦線)」で目の当たりにした数々の絶景は、ただ美しいだけでなく、日本人の心を癒す「処方箋」にもなっているような気がしました。

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